ゲーム業界を引退し、心臓の状態が落ち着いた数年後、自宅を整理しようと、もはや使わないであろうものを一時的に保管すべく、湾岸添いにあるプライベートレンタル倉庫を契約した。
月額2万円。
かなり高い賃料だと思いつつも、一時的に、そう、3か月くらいで引き払おうと思ってたから仕方ない…そう思って借りた。
でもね、一度そういうところに預けると、忘れるというのではない…惰性というべきか、そこに置きっぱなしにして安心するというか、預けたらまあしばらく放っておいても良いかな?…てな感じになってしまう。
想定してた期間を過ぎ、気づくともう2年以上も預けてしまってた。
2万円×24カ月
おおおおおお…台湾まで何往復できるという金額を無駄に支払ってたんだ、我輩のバカ。
しかも再来月から賃料が値上げだと?
ダメだ…早く何とかしないと。というか、GWの予定もないのに、そんな時期に車なんか出せないだろ、渋滞がひどくて。
てな感じで、倉庫会社まで連絡し、契約延長を行わず、捨てられるものを捨て、使えるものは持ち帰るということにした。
この半年間、いろんな書物を電子化して、本棚に余裕ができた。否定的な人も多く、彼らの言うこともいちいちごもっともであるが、本当に好きな本以外、たとえばあまり読む機会のない専門書、逆に普段からスマホやタブレットで読みたい小説や漫画については、かえって電子化したほうが便利だったりする。
さて、車「雪風」を飛ばして湾岸地区へ。いつもは倉庫会社のデリバリーサービスを利用しているが、直接倉庫まで出向くのは初めてだったかもしれない。
鍵を開け、自分の倉庫スペースを開ける…ふむ、2年という割には、埃とかかぶってないんだね。空調とかいろいろ、気を使ってるところだからかな?
にしても、箱いくつあるんだ…30個くらいあるぞ?
しかも、倉庫に入れた当時、区別するために箱に何か記号とか書いているが、どういう意味だったのかさっぱり忘れた…老化の所為にしておこう。生来のいい加減さで、じたばたしても仕方ない。
で、一つ一つ開けてみる…
えっとね…結論から言うとね…
ぜーんぶ、
ゲーム業界当時の
関連書類や資料
山のような企画書、仕様書、設計書、ラフ絵、絵コンテ。キングファイルに綴じられたのが半分以上であるが、残りはクリアフォルダーとか、ホッチキスで止めたりだとかで、もう何が何やら。ざっと見渡しただけで、全部、我輩が作成したものだ。企画書の種類だけで、300くらいあるなあ…よくこんなに思い浮かべて、パワポとかWordとかでまとめたものだ。ああ、当時の我輩が描いた絵も、エロエロだったな…。てか、裏紙に、エヴァンゲリオンの伊吹マヤのエロ絵ばっか描いて、ゲーム企画に関係ねーだろ!てか当時の我輩、マヤageだったっけ(ぉぃ 。
読みだすデバイスなんぞあるのか…というMOディスクの山。当時、そういえば我輩はMO愛用者だったっけ。にしても、段ボール2個分もMOディスクを使うか?
企画書とかを作るための書籍もまた、半端ない数だ。当時は現在と違い、インターネットとかで調べるにしても限界があり、書籍とかビデオ、DVDに頼ることが多かった。洋書も多い。広州や香港で買った武術本とかも多い。あ、そういえば神保町でいろいろと古本屋で買った資料、ここに保管してたんだ。実践呪術とか、例の不思議な体験をした古本屋で買った古書とか、古代オリエントの生活とかの資料とか、ああ、ここに置いてたんだなあ…。
そして、もうゲームの山、音楽CDの山、ゲームやアニメとかのムック本の山。
まあ、なんとゆーかね、自宅に持ち帰るのは無理だわな。
数箱だけ積み込んで、倉庫会社の人と相談し、後日大量廃棄をお願いすることに。何を捨てるかとかについては、再度調整。概算を利くと、想定より安い。
断捨離という言葉を安易に使いたくないが、過去のモノだ。誰にも覗かれずに、全部廃棄して、清算したい。
んで、帰路途中で秋葉原に立ち寄り、液晶タブレットを購入。
5年以上前に、板タブが壊れ、以後、マウスだけで同人漫画を描いてたが、ひどい状況が長らく続いてな…
倉庫を取っ払うからというので、うりゃあ!ってな感じで買った。
アマチュアだから下手なのは承知しているよ?
でもね、下手は下手なりにだが、
描くのがこんなに楽しい
ものだったのかと、
ものすごく感動している。
慣れるまでに時間がかかるが、この練習さえも楽しくて楽しくて仕方がない。
落書きだけだが、1時間に10枚くらいのペースでガリガリ描いてる。
いや、本当に楽しい!
…あ。
そっか。
さっき倉庫で見た、あの企画書とかの山も、そうだった。
あの頃、いや、今でもそうなのだが、黙っていても脳の奥底から、アイデアが湧き出し、それを企画書にしたり、絵にしたり、簡単なルールシステムを作ったりするのが、飯を食うよりも、寝るよりも好きだった。自分でも何かの精神病じゃないかとも思ったこともあった。今でもこうして、駄文を書いてる最中でも、どこからともなく、何かしらのアイデアが出てくる。いや、囁いてくるというのか。それをまとめようとすると、激しい狭心症の発作が必ず起こるから、相手にしなくなったが、今でも聞こえてくる。
とにかく楽しかった。
それと同じ感覚かもしれない。
金がほしいというのでなかった。
有名になるという考えもなかった。
ただ作るということだけが、この上もなく楽しかった。
それと同じ感じだ。
無邪気な子供のお遊びのような、無心になれるこの楽しさが、何よりも好きだった。
ま、GWの予定、決まったな。夏コミの原稿、楽しくやれそうだ。