前略 小山田いく先生
- 2016.03.25 Friday
- 22:52
JUGEMテーマ:漫画/アニメ
お元気ですか…という挨拶は、おかしいかもしれません。
御礼を色々と申し上げたいところでありますが、いざ、書くとなると、なかなか思うことが巧く文章にするの難しいものです。
小学校の頃、確か少年チャンピオンの増刊号か何かで、先生の漫画「12月の唯」を初めて読み、同誌のバイオレンスな誌風においてまさかこのようなコミカルにして切ない青春漫画と巡り合うとは思わず、以来「すくらっぷブック」や「星のローカス」、「ぶるうピーター」、「きみはノルン」そして「ウッドノート」をリアルタイムで愛読しておりました。
「ぶるぅピーター」は、あのような最終回になるとは想像できませんでした。
スピンオフの「どん亀サブマリン」、もう少し続きが読みたかったです。
「星のローカス」で、漫画とはいえ工業高校はあんなに堂々と煙草プカプカできるものなのかと、不思議に思いました。ただ、長尾のようなヘンタイに将来なりたいなあ…と思ってたりしました。で、長尾は、夕子の元に帰ったのでしょうか。
不思議と、「きみはノルン」についての思い出がありません、ごめんなさい。
先生の弟がケガをされ、代筆した読み切り漫画のギャグ展開が好きでした。長野県でアシスタントを集めるのは、大変ではなかったでしょうか。余計な心配をしたものです。
「ウッドノート」の最終回間際に思ったのですが、あのプールシーンの後、一二三とひわはヤッたんでしょうか。夜のプールでヤルのは、色々とばい菌とかで危ないですよ(ぉぃ 。
そして「すくらっぷブック」。
小学校卒業の三月の、確か今ごろでしたか、最終回を迎えたのは。
国文学とかについて熱心な教育がなされてるある私立中学校に合格し、入学のための準備をしているさなかに、あのエンディングは、なかなか胸に来るものがありました。
漫画の中で、はるぼんを通して多くの古文等についての薀蓄がなされていましたが、学校に入って、熱心に国文学を学んだのは、もしかしたらこの漫画の影響も、少しはあったのかもしれません。他の生徒は適当にしてましたが、我輩はとにかく好んで古文漢詩を学んだものです。「春暁」がはじめて授業で出た時も、直ぐにはるぼんの寝起きのシーンを思い出したりしました。
でも、あの漫画のような青春は、まったく歩めませんでしたけどね。
ただのフィクションであり、ファンタジーであるのは、まあ当然のことでしょう。
でもね、先生。
人間には誰しも、「原風景」を心の奥底に抱いているものです。
「原風景」は単に”懐かしい”とか、”デジャブ”とか、そんな単純な記憶の一つではなく、人生における多くの悲しさ、挫折、ストレスに対して立ち向かうためにある、”慰め”であり”杖”であり、”指標”であると、大学時代の心理学教授(星野先生だったかな?)が述べてました。
そしてその「原風景」を多くもつことで、人生において様々な場面に遭遇しても、精神的な困難を廃し、より良い将来のために立ち上がることができるようになるそうです。
国文学や音楽、歴史を学ぶ以外は、まったく通う意味のなかった成城学園の日々において、その無駄であった時間を埋めるように、その「原風景」がありました。
「すくらっぷブック」はじめ、先生のあらゆる作品は、我輩にとってのそんな「原風景」の一つ一つであり続けています。
【訃報】「すくらっぷ・ブック」漫画家小山田いく氏死去 享年59
なんだろねえ…先月、ふと日記に書いたのが、何の因果で。
おやすみなさい、先生。本当にありがとうございました。 早々