短調の国歌
- 2015.01.31 Saturday
- 15:30
JUGEMテーマ:音楽
久々にアキバまでUSBメモリーを購入。
来月から半SOHOの勤務形態になるって日記に書いてたが、株主総会まで色々とお手伝いをしなければならないので、再来月までは通常勤務と変わりなし。
とはいえ、日々の心臓の調子を確認して、出社のタイミングを自由に調整できるということに、会社に対して感謝いっぱい。
帰りに漫画専門店を覗いたら、ああ、新刊が出てた。
今回は作者の病気と手術についてページの半分が割かれている。
少子化とか叫ばれている日本。
晩婚化が原因だとされているが、もしかして、知らない間に夫婦共に不妊症が原因ではないかと、少し恐ろしく感じられる。
…まあ、我輩には関係のない話か。
で、本の中で、奥さんが日本の国歌について、P25で
「日本の国家(ママ)いい歌デスケド悲しいデスネ…」
「何で日本の国家(ママ)こんなに悲しいデスカ…」
「戦争のギセイのヒトと関係アルデショ」
「お祈りの歌デショ」
…誤字が二回続けてくるというのもどうかと思うが、エンターブレインだから仕方がないか(ぉぃ
さて、いわゆる”短調”の国歌について、確かに全世界を見渡せば少数派かもしれない。
てか、国歌マニア(ナンジャソラ)の我輩として、ちょっと調べてみた。
全世界の国歌の中で、ザ・ベスト・オブ”短調”で知られるイスラエル国歌、”ハティクヴァ(平和)”。
我輩は今まで、この旋律は重厚陰鬱なユダヤ教古来のものかと思ってたが、どうやら違ってたようだ。
オリジナルは、16世紀のイタリア音楽” La Mantovana”で、こんな感じ…
当時はたいそう人気のある音楽だったらしく、17世紀に欧州のあちらこちらへと広まった。
ポーランドでは”Pod Krakowem”ポルカとなり
ウクライナでは”Kateryna Kucheryava”となり
で、モルドヴァでは”Cucuruz cu frunza-n sus(とうもろこし大豊作)”となり
このモルドヴァバージョンを短調にしてできた経緯がある。
結構能天気な音楽が、暗い色調を帯びたのは、ユダヤ教の祈りにある短調の旋律に合わせるためという意図があったのかもしれない。
興味深いつながりとして、連続してこれらの国々の国歌がある。
有名なトルコ国歌”İstiklâl Marşı(独立行進曲)”。
アゼルバイジャン国歌”Azərbaycan marşı(アゼルバイジャン行進曲)”。
ボラットの所為で色眼鏡がかかってかわいそうなカザフスタン国歌”Meniñ Qazaqstanım(我がカザフスタン)”。
国内の全部族を並べ立てなければならないという意味で切なくなるアフガニスタン国歌”Milli Surood(神は偉大)”
ついで…と言っては失礼だが、イスラム革命前のイラン帝国の国歌”Ey Iran”はこんな感じ。
短調の旋律を持つ国歌は、中央アジア諸国に多いのが興味深い。
と同時に、行進曲の戦慄であるというのも、共通している。
そこそこあるんだね。
確かに少数派ではあるが。
ただ、勇ましいリズムで歌われるのが多いというところか。
となると、「君が代」と「ハティクヴァ」は本当に珍しい例なのか。
いや、曲調に関してはそうかもしれないが、歌詞となるとどうなるか。
御存じのとおり、「君が代」は平和な歌だ。
「ハティクヴァ」は、国の再建を夢見、行動する力強い内容で彩られている。
では、”短調”の色彩を帯びた国歌はあるのか…
我輩は今の所、ハンガリーの”Himnusz”しか知らない…
モヒの戦いでバトゥ率いるモンゴル帝国により1241年、ハンガリー軍壊滅。
モハーチの戦いで、オスマントルコ軍によりハンガリー国王ラヨシュ二世が戦死、嫡子がいなかったことで断絶し、ハンガリーがポーランドより200年前に3分割される。
これらの悲劇を切々と語りつつ、これらは全て神によるマジャール人に対する試練であると、そしてハンガリーは十分にその試練に耐え抜いたことを涙ながらに神に訴える、「君が代」「ハティクヴァ」と並び、極めて特異な国歌であると我輩は思う。
不思議なカタルシスをいずれの国歌からも、得られるのも、面白いことだ。