まず先にお断りを。
法律とか以前に、我輩はいかなる麻薬、脱法ハーブ等、如何なる不法薬物についても、反対している立場にある。
無論、試そうとも一切思わない。
高年齢層が覚せい剤とかに手を出して逮捕されるという事件が頻発しているが、若いころに味を覚え、数十年後発作的に使いたくなったというのが有力な説らしい。他にも社会的地位によるプレッシャーから解放されたいとかというのもある。
いずれにしても、人間の屑だ。
だが一方で、そのような薬物などを使い、自ら人間の屑だと自覚しつつも、自分が破滅の道を歩んでいるが他人には被害は加えないという一線を引いている人は、救いがある。
”自己責任”という、安直に使ってはならない言葉と真正面から向かい合い、前科を積み重ねることも是とする…そのために将来、如何なる希望も残されていないという破滅的な人生を嬉々として送り、自らの屑っぷりを堂々と述べる彼らは、健常な人にとって大いなる反面教師になる。
逆説的であるが、高い金を自ら出して、自らの身心を崩していく様を社会に対して示す尊いボランティアである。
今回は、そういうことから離れて、色んな観点から世界的に合法化について議論されている大麻について、グダグダと書いていきたい。
ツィッターで
@RasNobuさんから、大麻は合法でなければならない。
酒や煙草は良いのに、WHOから安全だとされている大麻が世界的に合法化されている。
果たしてそうなのか、ちょっと調べてみた。
ちなみにこの種の事は、調べるのが結構面倒。
煙草の害とかについて、嫌煙家の意見だけ取り上げるのは偏りすぎているし、過激な愛煙家による「煙草に害はねえんだよ!」という意見は、ギャグでしかない。
大麻が歴史に登場したのには諸説ある。
後漢(1〜2世紀)時代に編纂された医学書「神農本草経」に”麻蕡(まふん)”が登場する。
この医学書では、薬草について上品(長期間服用しても害はなく、却って身体のために良いとするもので、現代でいえばサプリメントのようなもの)、中品(体力回復に役立つが長期間連続服用に適していない、今風なら強壮剤とか、レッドブルのようなものかな?w)、下品(いわゆる薬、病気を治すために短期間使うこと。毒性も強い)と分類しており、”麻蕡”は上品に分類されている。
その更に前を見ると拝火教の始祖であるゾロアスター(紀元前11世紀)が、毎日服用してた”ハオマ”が大麻だったとする説が有力である。
その理由として、古代インドにおけるバラモン教(現在のヒンズー教)では、破壊と創造の神であるシヴァ神への最上の捧げものだとされていたという記録があり、地理的に見たら”ハオマ”がそうだったと考えるのは、おかしなことではない。
日本の場合、太古から大麻が存在していたようだが、”大麻”と衣類などに使う”麻”と混同しているところがある。
前者は一年草で一度育てたらそれでおしまい。後者は引っこ抜いてもまた生えるというもので、沖縄から経由し日本全国に良質な麻が採れるようになった。そのもっとも有名なのが天平時代から織られていた越後上布である。
薬としての大麻が正式に記述されたのは、貝原益軒による「大和本草」であるが、この偉大な博物学者も間違いを犯すようだ。貝原曰く、大麻は「古事記」「日本書紀」「万葉集」にも登場する…とあるが、どこにそのような記述があるのか、とんと見つからない。「万葉集」の中で、織物に使う”麻”が出てくるが、服用、吸引などで登場する”大麻”は出てこない。
それはともかく、マラリアに効果があると記載されている(これもおかしいけどねw)。
ただ確かなことは、生活の中で、ごく普通に生息し、痛み止め、睡眠剤として戦前戦中、普通に使われていた。
それを禁止したのが、戦後米軍の命令によるとされる。
そのアメリカでの大麻の歴史についても調べてみると…ふむ、興味深い。
アメリカ大陸では野生の大麻が育っていて、メソアメリカでは様々な宗教儀式において使用されていたという記録が残されている。19世紀には、大麻の抽出物はごく普通に市販、処方されていた人気の高い薬だった。
1876年に開催されたフィラデルフィア万国博覧会のオスマントルコパビリオンで、大麻吸引のデモンストレーションがあり、それがきっかけで一気に広まったが、1915年頃から中西部を中心に非合法化されていった。
ん?
1915年頃?
…
んんん??????
あれ?
19世紀後半から20世紀初頭…アメリカである大きな宗教的な動きがあったよな…。
キリスト教根本主義。
ホーリネス運動。
ペンテコステ派の勃興。
ディスペンセーション主義。
エホバの証人等のような異端の登場。
有力な神学校が誕生し、輩出された牧師たちによる強烈なリバイバル運動やカルヴァン主義への回帰。
世紀末という時期、最後の審判への恐怖から、人間の身体は”天の御国”の住人に相応しいように禁酒禁煙等が徹底されていた。
禁酒法もまた(誤解が多いようだが、個人が自宅で飲む分には問題なかった法律なんよ。あとワインやビールはOKだった)、それらの流れが爛熟してた時に生まれたものであった。
なるほど。
自国の法を、日本に持ってきたというのが、大雑把であるが一つの理由にあるんだね。
尤も末期がん患者などのホスピス目的など、医療用に使用する分については、薬事法において比較的早くに認可されていた。
それにしても、アメリカでは確かに、宗教の票田は強固であり、それに応じて大麻を禁じる法律も通さなければならなかったであろう。
でもそれだけだったのだろうか?
問題は、客観的に大麻は有害か否か…というのが最重要点であることは否定しない。
が、個人的に、大麻を認めるか否かは、国の形をどうするのか…という点にあるように思える。
アルコールは強烈な中毒性を有している。
煙草も然り。
しかし大麻は比較的中毒性が低いとされている。
アルコールは多飲すると、いわゆる二日酔いが発生する。急性アルコール中毒等による死も珍しくない。依存症にもなる。
煙草は長期的に吸うことで、肺がんやCOPD等の問題を起こす。副流煙も然り。依存症になりやすい。
大麻についても、煙草以上に肺がん発生リスクが高い一方、常習性、依存性がないとされる。
アルコールを飲むことで精神的昂揚、注意力散漫、思考能力の停止等が発生する。そのため、運転は禁止されている。
煙草は精神的高揚感をもたらすのみ。
大麻の場合、どんな感じなのか、資料がバラバラでさっぱりわからない。
大体まとめると…幻覚はないがあらゆる感覚が敏感になる、多幸感が強い、無動機症候群に陥る…。
あー…なるほど。
無動機症候群。
勤勉さが日本国において理想とするならば、トップにあるものは確かに禁止し続けなければならないのかもしれないな。
調べれば調べるほど、規制派と反規制派の意見が全くかみ合わず、双方とも科学的データ、統計のデータも各々その信憑性についても、データのとり方についても、ハテナマークが出てしまう。
規制派は印象から始めてデータは後付けだ、いや反規制派のデータに客観性が一切ない。
結局有害性についてのこの種の話は、藪の中。
その藪も、大麻の葉だから、困ったものだ。
で、ダラダラ書いて、何か思うところがあるかって?
大麻、覚せい剤、脱法ハーブ…これらをいっしょくたにするのはけしからん!…という反規制派の意見は、判らなくもないが、大麻では物足りなくなって、薬物に関してエスカレートするというデータを信じるなら、全部規制するのは仕方のないことだ。
【速報】池袋駅西口で大事故 脱法ハーブで暴走か
このニュースに怒りを覚えたのがきっかけだったな。
大麻では交通事故の発生率が低くなるというデータもあったりするが、よく読むと”医療用マリファナが合法化されている州”って、データの集め方がおかしいだろ!w
それでも何かの形で認めるというのが世界の趨勢であるならば、ツィッターでも呟いたが、かつての英国で行われてた方式を踏襲するのが良いのではと思う。
一番の問題は、これらの薬物は暴力団等の資金源になっているということだ。
それを政府が全部管理し、格安で販売するというものだ。
大麻、脱法ハーブ、覚せい剤、なんでもござれ。
使用する人間は自己責任で。
文字通りの「人間やめます」という契約書にサインすれば使い放題。
ただしその契約書では、それらを使用することで、誰かに危害を加えた場合には、裁判なしで死刑になっても文句を言わないという、おいちょっとまて、21世紀の法律じゃねーなw
でもそれくらいの覚悟が必要というものだ。
死にたくないというのであれば、これまた国が用意した施設に入り、思う存分トリップするが良い。
但しその施設は、強化ガラスに覆われた動物園。
薬物に狂っていく様子を、健常者に見せつけることで、リスクとは何か、自己責任とは何かを教える場だ。
入場料を取れば、朝昼晩の飯くらい出せるだろう。
いやあ、ますます21世紀じゃねーな。w
でもまあ、ボランティアのような存在となるから、意味はあるんじゃないのかな?
なんかダラダラ書いてみたけど、縁のない世界だから、イメージがわかないな。
まあ、死の病の末期にならない限り、近寄りたくもない世界であるが。