「駅のすぐ近くに、いろんなコーヒーショップアルから、大丈夫ネ」
旅行前に、台湾観光の事務所まで情報を求めに行ったが、どうも何か誤解されてしまったようだ…。
「ああ、ごめんなさい…スタバとかなら、たくさんありますが(英語)」
桃園空港の観光インフォメーションセンターで訊ねたが、係員は途方に暮れた表情を浮かべ、申し訳なさそうにこう答えた。
今回の旅における目的目標を整理したい。
・海外において、ICDの誤作動、狭心症の発作などが発生しないかどうか。
術後3ヶ月経過して、だいぶ落ち着いてきたのは確かだが、日本国内にとどまると、体調的にも脳内的にも便秘になる我輩として、海外まで飛び出なければ、周囲に不幸のオーラを発してしまう面倒くさい体質を持っている。
が、本当に問題がないのか…主治医側は、原則、問題はないとしているが、かなりのリスクがあるのは確かだ。
この四日間、確認するために、アメリカの次に慣れており、時差がほとんどない台湾まで来たというわけだ。
もし倒れてしまった場合、鷹にはどうすべきか、医者に対してどのようなことを伝えればいいのか(ICD手帳を手渡すなど)を伝えたから、安心である…いつもすまないなあ…。
・素食と客家料理にチャレンジする。
台湾、香港、広州には行っているのに、意外とこれらを食べたことがなかった。
前者は有名な精進料理のこと…豆腐や湯葉、キノコを使って、肉そっくりの食感を作り出すというヴェジタリアン料理。でも、決して健康食とは言えないんだよなあ…肉に似た味付けを出すために、大量の油を使うため、カロリーが結構高いとのこと。まあ、それでも、本当に肉の味なのか…それをぜひとも試してみたい。東京には当然ないので、本場でなければ、な。てか、ウナギのかば焼きもどきがあるそうで、もし本当にそれが同じ味であれば、ウナギ不足を解消するヒントになるのではないかと…そしてそれでビジネスを立ち上げると(マテ
もう一つが客家料理…客家についての説明は割愛。たしか新宿に、有名な客家料理専門店があったと思うが、やはりこれも本場のものが食べたいわけさ。
・台湾産コーヒーを飲む。
個人的に最大の目標かもしれん。
心臓病の原因の一つらしいが、一日に一杯程度であれば問題ないとのこと。
台湾におけるコーヒーの歴史は結構古く、日本統治時代でも盛んに作られ宮内省ご用達になるくらいの美味だったそうな。国民党政府が出来てから一気に廃れたそうだが、近年、古抗にて生産復活し、ブームになっているそうな。
コーヒー好きなら、やはり地元で飲んでナンボであろう。
で、出発前に色々と飲むことができる店を訊きまわったが、「ここなら確実に飲むことができるヨ」という情報に至ることができなかった…。
・四十八手本を買う。
ゲフンゲフンゲフン… 「西門町の
蜂大珈琲なら、あるんじゃね?」
鷹のアドバイス。
うん、我輩も、あの店ならあるとはわかっている。
ただ、ネットで情報を拾い上げると
豆が売られている。
ただし、予約制。
豆を買うとしても、無茶苦茶高い。
…我輩としては、豆を買うのではなく、地元で飲みたいのだ。
蜂大珈琲は、台湾が誇る伝統ある喫茶店だ。
これについて、どう解釈すべきなのか…。
まあ、ここまで来たんだ。行くしかあるまい。
朝食を
阜杭豆漿で済ます。
ネットなどで広く知れ渡っているから、割愛。
相変わらず美味しかったし、フードコート内で蛇行状に並ぶことがなくなったので、当初予定していた時間よりも早くに食事ができた。
やはりここは美味いな…。ああ、鷹が疲労困憊だったらしく、机で豆漿をぶっちらかしたが、時間がねええ!さっさと食うべえ!w
台北・西門町は若者の顔と老人の顔が存在する。
50年の歴史を誇るこの喫茶店は、老人の顔を代表している。
喫茶店であるのは確かだが、台湾における昔ながらの物売りの店の光景が広がる。
クッキーやコーヒーの豆が店頭に出され、視覚的に何の店であるのかというのを示しつつ、この店には、コーヒーとお菓子に関するものなら何でもそろっているよ…ということを誇らしげに示す二つの構成で出来上がっている。
お、台湾産コーヒー豆のボックスがある…が、売り切れ。
店内で飲める分だけの確保はあるのだろうか?
店員に尋ねると、幸いにして日本語が辛うじて通じた。
ある!…よし!
二人分を頼む。
あと、店頭のクッキーを…ああ、自分で行って、別料金で買うのか。
一番偉いであろうおばあさんが、怖そうな顔だが、実に美しい日本語で対応してくれた。
なんか、いいね、こういうの。
とりあえず3種類一枚ずつ。
一番左のクッキーは…クッキーとは言えないな…完全に中華料理の味。
バターではなく、豚のラードの風味が強く、甘さを求めたら激しく失望するかもしれない。
が、台湾のお菓子だと思えば、恐らく別の美味しさに目覚めるかもしれん。
右のクッキーは、ボロボロとこぼれ、一口齧ると口内の水分が0%になる恐るべき内容。
普通に甘く、香ばしい風合いだが、どこのメーカーの除湿剤を使っているのだろうか(ぉ。
そして隠れて見えにくい下のクッキーは…普通のクッキー!ヒャッハー!普通に甘くておいしい!
というわけで、もしこの喫茶店に来ることがあれば、全部チャレンジすることを勧めるぞ。w
お…来ましたか。
台湾産コーヒー…。
香りは…ほおお…甘く優しいな。
色は…やや緑がかってるが、これまた良い具合に濃厚だ。
では一口…ズズズ…。
ほおおおおおおおおおおおおおおおおお!
酸味が効いてて、いけるじゃないの???いやいやいやいや、これは美味い!
マンデリンに近いか、いやトゲトゲしさはない。
すうっと喉奥にまで流れ、鼻腔全体に柔らかい甘い香りが戻ってくる。
いや、これは、名品だわな!
コーヒーは産地とか農法とかも重要だが、我輩個人として一番の要素は、品質管理。
台湾茶が優れている理由は、まさに品質を一定以上にするための管理努力であるが、コーヒーに関しても、その考えを引き継いでるのかな。
いや、隙がないぞ、この味は。
苦みより酸味が強いから、すっきり感も良い。
というわけで二杯目おかわり〜♪
心臓?
いやいやいや、ほら、昔、孔子が曰くで弟子たちに言ったじゃないか。
朝に美味しいコーヒーが飲めば、夕べに死すとも可なり
って。
我輩、儒教は大嫌いだが、この言葉に関しては深く共感すると。
いよ!孔ちゃん!気が合うね〜♪
まあ、それ以上に、店の雰囲気がね…いいんだ。
こういう喫茶店、東京でもなくなったよな…。
昭和30年代の空気…うん、台湾に来たら、必ず立ち寄ることにしよう。
待ち合わせについても、この店を指定しよう。