ある事件でふと思った三者の立場

  • 2019.09.03 Tuesday
  • 16:27

JUGEMテーマ:日本史

 

赤穂浪士、赤穂義士、赤穂事件とも言うが、立場によって使われる用語が違ってくる、そんな典型例。

漫画家の黒鉄ヒロシ翁は、討ち入りを「日本史三大雪景色」と評している、残りは桜田門外の変、そして二二六事件。

確かに記憶している限り、これらが最も血の臭いが強烈な事件であると共に、翁の言うところの「不思議なカタルシス」を日本人が感じせる何かがある。

が、今回はこれについてではない。

 

一応、この駄文では、「赤穂事件」として呼ぶとしよう。

史書である「三国志」と、文芸小説である「三国志演義」が別物であるように、「赤穂事件」と「忠臣蔵」は別物である。

書かれている感動的なことが実際にあったのか、確認する方法は殆どない。

ただ、心の琴線に触れるような話の作り方と、舞台映えする台本の構成は流石である。

あれと同じだ、司馬遼太郎。

あれを史実だと信じてるばk…可愛そうな人が多いが、あれほど史実から離れた小説群は存在しない。

それでも支持される理由は、あるのだ。

 

で、この一連の事件で、どうしても気になる人たちがいる。

 

まず、悪役である吉良義央、上野介。

「忠臣蔵」ではその陰湿ないじめ故に、浅野内匠頭が抜刀して…という流れはもう説明する必要がない。

だが、史実では、取調べを受けた浅野内匠頭いわく、時々発狂して我を忘れる病気がある…と白状している。

そして、たまたま目の前に吉良がいて・・・

これが本当であれば、吉良はとんだとばっちりを受けたということになる。

高家筆頭であるということで、賄賂とか色々汚い噂もあったかもしれないが、幕府と当時、赤貧洗うが如しの朝廷の間を取り持つ役目として、何らかの金の流れを作らなければならない立場だったというのもある。

それほど賄賂賄賂と言うのであれば、自分の屋敷くらい、それらの金でなんとでもなるはずだ。

ところが、上杉のほうから…という話があったり、なんとも不可解なところがある。

意外と、他の大名同様、貧乏だったのかもしれない。

 

二人目が、赤穂浪士の切腹に際して、各大名屋敷に派遣された幕府目付、まあ要するに切腹したかどうかを確認する見届け役だ。

やはり全員分の切腹(正確に言えば、数名を除き、斬首であるが)を見届けたのだろうか。

武士としての意地はあったのだろうが、これは精神的に並大抵のことではない。

四つの大名家に分散して、約10名強...想像できる?

フランス革命でギロチンでの処刑管理を任されたムッシュードパリのサンソンでも、正気を保つのは並大抵のことではなかったとは思うが…それとも、違う意識で、彼らの死を見ていたのだろうか。

正副2名、無論他にも多数の係がいる。

全部見届けるとなると、数時間かかる。

一人一人、どんな気持ちだったのかが、何とも気になる。

 

そして最後が、吉良義央の孫にして養子となったが、事件後に「仕方不届」を理由に改易され、諏訪藩に預けられて早死にした吉良義周...の最後の家来とされる左右田孫兵衛と山吉盛侍の二人。

主君の死を看取り、寺院での供養を願って三両を出し、その後、別々の人生を歩んだこの両人が、どうにも気になる。

というか、ある企業事件と重なって見えてしまうのだ。

山一證券事件。

あの証券会社が倒産した後で、後始末をするために残った社員達の姿とどうしても重なって見えてしまう。

数年前、諏訪湖まで訪れた際に、偶然、吉良義周が葬られている寺院を見つけ、詣でた。

少し歩きにくい小山の中腹にある彼の墓は、それでもしっかりとそこに立っていた。

三両のお金は、貧しい武家にとって大金である。

誰が準備したのだろうか。諏訪藩か、あるいは彼らが用意したのか。

何と言って住職にお願いしたのだろうか。

 

 

 

そんな歴史の片隅にある人たちを、思いやってみたい。

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